生徒会の恋愛事情
まるで自分自身に言い聞かせるように、華羅お姉ちゃんは答えた。
でもそれは、いつもの楽しげな彼女ではなかった。
「…なら良かった。」
あたしは拍子が抜けてしまった。
デートではなかったのだろうか?
もしそうなら、もっと楽しそうに答えるはずだよね?
「沙羅も偶には出掛けたら?
気分転換もしなくちゃ。」
「そうだね。
次に休みが出来たら何処か行こうかな。」
「そうした方がいいよ。
じゃあ、お風呂入ってくるね。」
華羅お姉ちゃんは歩いていく。
それはさっきみたいな、逃げるようなものではなかった。
あたしは分からなくなる。
一瞬見せた寂しげな表情は何だったんだろうか。
喧嘩でもしたのかな?
忘れられない光景がまた1つ増えてしまう。
あたしはその記憶を、心の奥にそっと閉じ込めた。