生徒会の恋愛事情
留学の話
その日も雨が降っていた。
今朝は昨日程でもないけど雨が降っていて、道が悪い。
こんな日は学校に行くのも嫌になりそうだった。
「ねえ光唆、今日の生徒会って何の話するんだっけ?」
「体育祭開催時期の変更に伴う文化祭の時期の変更とかいうやつだろ。
って、どうしたんだよ沙羅?」
「どうしたっていうのは?」
「沙羅がその日の議題を忘れるとかありえないだろ!」
「そんな事ないよ。
あたしだって人間だよ。」
そう、あたしだって人間だ。
何もかも忘れたい時、何もしたくない時というのがある。
「そんなレベルの話じゃないぞ。
何かあったのか?」
「…何もないよ」
そう言いながら、間の取り方を誤ったと焦る。
何もないなんて嘘、今の言い方だとすぐに光唆にばれてしまうだろう。
あたしが傘越しの光唆の顔を見ると、案の定、目を細めてこちらを見ている。
「何かあったんだろ。」
「何もないって言ってるじゃん。」
「否、何かあったな。
じゃなきゃそんな下手な嘘吐けねえだろ。」
傘と傘の間を行き来する会話が雨のせいか重みを増す。
受け取る言葉が重苦しい。
あたしが答えに詰まっていると、光唆は諦めたのかこんな事を言った。
「華羅姉がいたら何があったかすぐ分かるのにな。」