生徒会の恋愛事情
華羅お姉ちゃんの名前が出て、あたしは目を泳がせた。
でも、昨日の話を光唆にするわけにはいかない。
「沙羅?
…もしかして華羅姉と喧嘩した?」
「え?
何で?」
「…勘?
俺、女じゃねえけど。」
そう言って光唆は前を向く。
喧嘩したわけではない。
ただあたしが一方的に意識しているだけ。
「男の子の勘って当たらないんだね。」
そう言いながら、少し焦っている自分がいる。
光唆は正解に辿り着けなかったけど、痛いところをついてきた。
「違うならいいんだけどよ。」
もう詮索する気はない。
彼の横顔がそう語っていた。
「でもよ…俺、お前の幼馴染だから。
…意外と沙羅のこと見てきてるんだからな!」
光唆が校庭の方を見て呟く。
「光唆…」
分かっている。
光唆はいつもみたいにあたしを心配してくれていて、華羅お姉ちゃんとの間で何かあったのだと気付いてくれていて。
「ありがとう。」
でも、本当に言えないから。
光唆も知っている人の話だから。
「そんな無理して笑うなよ。
ったく…にしても、華羅姉は朝っぱらから学校って。
生徒会でもないのに何してるんだよ。」