生徒会の恋愛事情
今朝早くに学校に行ったのも、先生とその話をするためだそうだ。
「生徒会ってただでさえ人手不足なのに、これ以上減ったら大変ですよね。」
華羅お姉ちゃんが心配そうに言う。
確かに、生徒会はもっと人を雇いたいくらい忙しい。
話し合いも日が暮れるまで続く時はよくあるし、各個人が引き受けている仕事の量もなかなか多い。
なのに、中心メンバーである2年生がいなくなるのは正直、かなりの痛手になるだろう。
「まあな。
今でも余裕のある仕事量ではない。
沙羅はどう思う?」
家の方は問題ないと思う。
留学費用は国や団体が全額出してくれるみたいだし。
それに、華羅お姉ちゃんが外国に行きたいという気持ちは昔からあった。
小学生の時はキャビンアテンダントを夢見て、中学生になると通訳を目指すと言っていた。
今はどんな夢を持っているのか知らないけど、華羅お姉ちゃんが国際関係の仕事に就きたいのは変わっていないと思う。
「あたしは…」
華羅お姉ちゃんは裕福な家の子ではない。
だからこれから大学に行ったとしても、留学出来ない可能性が高い。
そんな華羅お姉ちゃんにとって、今回の話は願ってもないチャンスなんだろう。
「華羅お姉ちゃんには、留学に行ってほしいです。」