知っていますか?
次の日は朝からドキドキしっぱなしだった。
久しぶりの時間。朝ごはんをゆっくりめに食べて、ギターを背負って家を出る。
朝練のある日はいつもギリギリで、家から駅まで全力で走るので、
ギターは持っていかずに部室のを使っていた。
今日は一日練習がないけど、お昼休みはちょっと自主練できるかな。
そう思って久しぶりに愛用のギターを持っていくことにした。
砂田君は、途中の駅から乗ってくる。
あ、来た・・・。
あたしは緊張のあまり、いつもとは違う席に座っていた。
砂田君・・・。
昨日の一連の喜びを思いだし、顔の火照りを感じたあたしは、顔を下に向けた。
他の人に怪しまれちゃうっ。
「わ!おった!」
目の前でする男の人の声。はっと顔を上げると、そこには砂田くんが居た。
あたしはとっさに足元にたけかけていたギターに身を隠した。
心臓の鼓動が煩い。
「生徒会長サン!」
砂田君はあたしの頭をぽんぽんと叩いた。
恐る恐る見た彼の顔は、始めてみた笑顔で、
にっこり笑った口元には可愛らしい八重歯がある。
「おっおはよう・・・ございます」
下を向いたままあたしは言った。
それを見て笑いだした砂田君。
「なんで敬語なん!顔も隠したまんま!顔あげてや」
しぶしぶ上げたあたしの顔を見て一瞬砂田君の動きが止まった。