知っていますか?
え?
やっぱりあたしが赤いの気付いた?
「会長サン、名前なんてゆうん?」
急に聞いてきた。砂田君。
「神田千絵梨・・・。」
あたしは電車の中でその声聞こえる?!ってぐらい小さい声で返した。
だって恥ずかしいんだもん。嬉しいんだもん。
まさか砂田君が、あたしの名前を聞いてくれるなんて。
またうつむいた私をぽんぽんと優しく叩いた。
あたしってなんて可愛くないんだろう。顔も下げっぱなし、
こんな小さい声でしゃべって・・・。どこがしっかり者。
あ、あたしはしっかりしてるようにみえるだけだった。
本当は、こんなに小心者なんだよ。
次の駅であたしの隣の人が降りた。すると、砂田君はそこに座った。
ドキドキして心臓がはちきれそう。
「千絵梨」
突然呼ばれた名前にびくっとした。
砂田くんがあたしの事を呼んだ。しかも名前を呼び捨てで。
「千絵梨、明日は電車乗ってこうへんの?」
砂田くんは自分の持ってるエナメルバッグを漁りながらそう言った。
「明日からも、生徒会があるから早い電車に乗っていかないとダメなの。」
今までで一番ちゃんとしゃべれた気がする。
でももちろん砂田くんの顔を見る事はできなかった。