知っていますか?
「ふぅーん。桐田何分発?」
桐田ってのは砂田君が乗ってくる駅。
「7時10分ぐらいかなぁ」
「はやっ!!」
砂田君は言いながらもまだ鞄をごそごそしていた。
その時、学校のある駅についた。
あたしは慌ててギターを背負った。
その時、砂田君が何かをあたしに渡した。
この展開は?
もしかして、漫画とかで良く見るアドレスとか貰っちゃうやつ?!
一瞬であたしはそんな妄想に取りつかれた。
しかし、砂田君の手にあるものは可愛いワ二のぬいぐるみだった。
チェーンがついてて鞄などに付けれるタイプの。
「え?!」
「それやるわ!昨日取ってなかなか気に入っとんやで!」
八重歯をむき出しにして笑って言った。
「あははは」
あたしは思わず笑ってしまった。
差しだされたものが、ワ二のぬいぐるみで、
それを本当に嬉しそうに笑って渡す、砂田君が可笑しくて。
愛おしくて。
「ありがとう。」
やっと砂田君の顔を見て言えた。
砂田君はちょっとだけ間をあけて、
「また明日な!」
とまた笑って行って違う方向へ去って行った。
あたしは貰ったワ二が嬉しくて嬉しくて、思わずぎゅっと抱きしめてしまった。