NO NUMBER.
first calling.
「優乃はなんでもできるのね」
そうやって言われて育った私は、それが誇りでもあり、重荷だった。
我が家は母子家庭で、私のほかに弟が一人。
母は父の浮気で即決で離婚、それでいて養育費はがっちり握った強かな女性だった。
もちろんだからと言って遊び暮らすような人でもなく、働きながらも家事をこなして私たちの学校行事にもよく来てくれたし、
家になるべく居ようとしてくれていた。
だからこそ、姉として小さい頃から弟の面倒をみたりもした。
少しづつ家事も覚えて、勉強だって成績は維持して。
それが失敗だったのだと思うようになったのは、ここ数か月。
進路の話をした時。
「優乃は昔からできる子だから、大丈夫ね。」
笑顔な母に言われ慣れた言葉。
でも、私にとって、今回のショックはとても大きなもので、すこし、
ううん。
初めて、大泣きした。
母が仕事に行って、弟の光輝は友達と遊びに行って。
一人になった夜。
泣いた。
頑張ってた。
私、今まで頑張ってたの。
それを、できる子だからって一言にまとめられたのが、悔しかった。
たとえもとができる人間だったとして、だからって、やらなければ、努力しなければ、できるわけないのに。
実際は、そんなできた人間でもなくて、授業ではどんなに必死になっても下手したらおいてけぼり。
洗濯も掃除も食事を作るのも。
やらなきゃいけないことは多くて。
不器用な私は、すべてをこなすのに精一杯だった。
そのために最初に減ったのが遊ぶ時間。
学校外で遊ぶ友達は徐々に減った。
学年が上がるほど、不器用な私は勉強に時間を費やした。
光輝はそんな私を横目に、毎日友達と遊んでて。
だんだんと不良とか、そんな人たちと付き合いもあって。
危ないと注意してたのは最初だけ。
ただの嫉妬だった。
自由な光輝への、嫉妬。
それに気づいてからは、何も言えなくて。
でも時々話せる母は何かと言ったりもした。
そのたびに、私は孤独感にあふれてた。
独りじゃないはずなのに、独りになった気がした。