NO NUMBER.
1人、学校に行く以外家では勉強と家事に明け暮れる毎日。
そしてその日も、1人、家で勉強をしていたのを、鮮明に覚えている。
やっていたのは苦手な数学。
今思えばやけにごちゃごちゃした方程式とぐねぐね曲がったグラフに悪戦苦闘してた。
珍しく学校の友人と文化祭の話でメールのやりとりをするために手元に置いていた携帯が、バイブのせいで机とぶつかる奇妙な音をたてた。
すぐに静かになると思って触らなかったら、メールよりも長く、途切れない耳障りな音に電話だと気付いて手にとる。
電話はだいたい母親から。
携帯にかけてくることなんてそれまでなかったはずだけど、母親だと思っていた。
しかし、表示されていたのは人名でもなく、数字の羅列でもなかった。
NO NUMBER.
そこには、確かにアルファベットの羅列があるだけだった。
NO NUMBER
(番号、存在せず。)