隣の席の不器用男子。



にしても。
フィルヒョーってすごい名前。
これはすぐに覚えてしまった。
ほんと、インパクト大きすぎて。


「フィルヒョー、か」

「フィルヒョーがどうしたんです?」

「いや、覚えやすい名前だなって思って」

「あぁ、そうですね。確かに」


ふむ、と顎に手を当て頷くその様も、絵になるなんて。
原田くんは罪な男だ。
美しい、実に美しい。


「そんな目で見ないで下さい」


…どうやら私は人を見つめる癖があるようだ。
気をつけねば。
ねばねば。

…ネバネバ?


「納豆食べたいな」

「授業に集中してください」

「マヨネーズとなかなか合うんだよね」

「否定しませんから、ちょっと静かにしてもらえませんか」

「あ、ごめん、なんか言った?」

「…もういいです」


え、なんかため息をつかれてしまった。

失礼なことをしちゃったかな!?

あ、あとで謝らないと。

…あ、コーヒー牛乳飲み忘れてた。
これ終わって教室戻ったらすぐ飲もう。



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