隣の席の不器用男子。



「そんなのいつでも飲めるでしょう?」

「いえ、授業が終わったら飲むと決めてたんです」

「そう…意志が硬いのね。偉いわ」

「はい。なので失礼します」


と、一応お辞儀をして教室に向かおうとすると。


「お願い待って置いていかないで話を聞いて」

「………」

「そんないやそうな顔しないで!」

「………」

「真顔もやめて!かわいいけどこわい!」


…人の顔に文句ばかりつけないでほしい。
確かにこの人、かわいいけど。


「放課後なら話聞きますが」

「いや、今がいいんです」

「そういえば、あなた誰なんですか」

「え、私?」


…他に誰がいるんだ、と眉をひそめると、彼女は顔を下に向けると、肩を震わせて不気味な笑い声を上げた。

何その悪役みたいな笑い声。
すごい、洗練されたようなそれ。

何それ、私もそれやってみたい。
教えてほしい。

話が終わったらこの人に弟子入りしよう。



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