隣の席の不器用男子。
「…何でしょうか」
私が尋ねると、彼女は咳払いをして近くの死角となる物陰に連れていかれた。
え、隠れてなきゃ話せない話?
何だろう…
「あなた、あの女とどういう関係?」
「紗英ですか?」
「そうよ」
「友達ですけど」
そうじゃなくて、と、長谷川さんは舌打ちをした。
長谷川さんはどんな答えを期待してたんだろう。
恋人って答えた方が良かったのかな。
なんか、すごい剣幕だったから、真面目に答えたけど、ぼけたほうがよかったのかな。
「さっきの休み時間の会話、聞かせてもらったわ」
「…さっきの休み時間?………何話したっけ…」
…うーん、と首を傾げて考えると、長谷川さんは近くの壁を叩いた。
結構な力で。
…いたそう。
「あなたたち、ただの友達なんかじゃないでしょ?」