隣の席の不器用男子。
「………」
…不覚、だった。
それは、あまり公にできることなんかじゃない。
「何が、言いたいんですか」
「あら、意外と物分りはいいのね」
「そこまで馬鹿じゃないですよ」
「そうみたいね…ふふ」
彼女は綺麗だけど冷たい笑みを浮かべると、私の耳元で呟いた。
「私は、あなたのことが嫌いなのよ。あなたと、その親友が、ね」
「…そうですか」
「そして、私は新聞部部長。日々、ネタとなる話を探してるの」
胸に抱えた教科書とペンケースを強く抱きしめた。
嫌な予感がする。
「危ない目に遭いたくなかったら…教えなさい」
…誰が、教えるもんか。
これは、面白い話なんかじゃないんだ。