隣の席の不器用男子。
「…おい、桜子」
聞き覚えのある声がして、びっくりして振り向くと、そこには原田くんがいた。
「ゆ、ゆき…」
「如月さん、ごめん、桜子が」
「う、ううん」
私は、ただただ驚いていた。
原田くんがここにきたこと。
原田くんが…
なんだかものすごく怒ってること。
すごく声が低くて、目がすごく鋭い。
今日話したばかりだけど、それは初めて見る姿で。
それでも美しいのに変わりはないんだけど、顔が整ってる分怖かった。
私が睨まれてるわけじゃないけど…
「人の情報集めて、広めて。何が楽しいんだ。しかも、人が隠したいことばかり広めて」
…あ、敬語がなくなってる。
怒ると、敬語じゃなくなるんだ…
仮にも、長谷川さんって年上だよね?
…あれ、名前呼び捨てにしてた、よね?
…二人は、知り合い、なのかな?