隣の席の不器用男子。
話しかけようにも、寝てるから話しかけられない。
起こしたら機嫌悪くしちゃうかもだしね。
紗英を見ると、そんな原田くんをヨダレを垂らしながら見ていた。
そんな紗英に、私は何も言わずにティッシュを差し出した。
紗英はそれを何も言わずに受け取って、静かに鼻をかんだ。
「紗英、ヨダレ」
「幻覚よ。私がそんなもの垂らすわけないでしょ」
「垂れてます」
チャイムが鳴ったので、とりあえず紗英は席に戻って行った。
みんな、そんな紗英をギョッとした目で見ていた。
…一応、忠告はしておいたから、私は何も悪くないよ。
頬杖をついて、窓の外に目を向けた。
今日は、雲一つない快晴だ。