隣の席の不器用男子。



休み時間が終わる一分前くらいに、原田くんは戻ってきた。

無表情だけど、その顔は整っていて、とても美しかった。


「見ないでくれますか」

「ラジャー」

「何ですか、それ」

「了解、って意味です」

「それくらい知ってます」


ですよねーと言って、私は次の授業の準備をした。
次はとても眠い古典だ。


「………」


なんか視線を感じる。
隣の席から。

さっき、見ないでって言われたもんね。
うん、見ない。


「……………」


まだ視線を感じる。
気のせいか、その視線は鋭さを増してる気がする。


「な、なに?」

「な、なんでもありません」


…なら見ないでほしい。
そろそろ穴があいてしまいそうだ。


「………………………」


…視線だけで殺されそうだ…



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