大切なキモチ~詩~
詩 公衆電話
10円の価値を

知らない

最近の若者

昔10円あれば

公衆電話を使えた

会えない辛さを

紛らわすことができた

残り時間が

少なくなるたび

互いの愛を深め

会いたい気持ちを

膨れ上がらせた

今は携帯電話がある

後払いで

銀行振込みで

紙切れの明細だけ

有り難みが

薄れていく

“好きだよ”

“会いたい”

その言葉が

安易になっていく

そんな気がするのは

なんだか悲しい

気持ちを伝える術は

きっとたくさんある

だけど電話が好きな

僕にとって

公衆電話が

消えることで

きっとさらに何かが

かけてしまう

そんな気がするんだ

10円玉を

握りしめて

遠くにいる

君を捜す
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