愚か者の一生
記憶
あれは押し入れの上段。
気付けば隣には祖父の姿があった。私は小学一年生の普通の女の子だった。

何をされてるのかわからなかった。高校生になってテレクラで知り合った相手と初めての体の関係をもった。その時気付いた。あれは性的虐待だったのだろう。

私は今、三十才を前に思い返した。病的感覚。トラウマ体質。自分でコントロール出来ない孤独、憎しみ。

父は去年亡くなった。あっけない最後だった。
暴力と酒に溺れている人間だった。
思えばこの二人と姉の存在が私の根本的な部分のトラウマと化しているのだろう。
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