ただ、名前を呼んで

「そのまだ幼い彼が、必死に守ろうとしてたんです。拓海君のカスミに対しての愛情は、私達のそれと大差ないのかもしれません。」


内藤さんは少し複雑そうな、それでいて優しい表情を見せた。

そして内藤さんは僕の目を真っ直ぐに捕まえると、静かに聞いた。


「カスミ…いや、お母さんが好きかい?」


その質問に何も悩むところなんてない。答えは決まりきっている。

それは空が青いとか、夏が暑いことくらい当たり前のこと。


「好きだよ。生まれた時から僕はお母さんが好きなんだ。」
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