ただ、名前を呼んで

僕の答えを聞いた内藤さんは、さらに頬を緩ませた。

その隣では奥さんまでもが幸せそうな顔をしている。

なんでそんなに温かく笑うのさ。僕は何も特別なことは言っていないのに。

祖父の顔を見上げると、やはり嬉しそうに顔を緩ませていた。


なんだかよく分からないけれど、みんなが幸せなのは良いことだ。

傲慢だと思っていた内藤さんも悪い人ではないみたいだし。

だけど僕はハッとした。
肝心なことをまだ聞いていない。
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