ただ、名前を呼んで

母が今の施設に居ることを聞き、父についてはただ亡くなったとしか教えられなかった。

だけど母に会いに行くうちに、僕の中にある一つの推測が浮かんだ。


「じいちゃん。お母さんの心が病気になったのは、お父さんのせいなの?」


そう問いかけた僕に対して祖父は、驚きと悲しみを帯びた目を向けた。


「どうしてそう思う?」

「わからないよ。そんな気がしただけ。」
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