ただ、名前を呼んで

そのうろたえた祖父の反応を見て、僕は少し恐くなったのを覚えている。

だって父のせいで母が病んだことを肯定してるみたいだから。


僕のイメージの中では、父も母も優しくて温かい人だと思っていた。

人を傷つけることなんてするわけないって、思ってたから。

信じたくなかったんだ。


沈んでしまった僕の肩に腕を回した祖父。

そしてゆっくりと話し始めた。


「お前の父親の話をしよう。落ち着いて聞きなさい。」
< 110 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop