ただ、名前を呼んで
そのうろたえた祖父の反応を見て、僕は少し恐くなったのを覚えている。
だって父のせいで母が病んだことを肯定してるみたいだから。
僕のイメージの中では、父も母も優しくて温かい人だと思っていた。
人を傷つけることなんてするわけないって、思ってたから。
信じたくなかったんだ。
沈んでしまった僕の肩に腕を回した祖父。
そしてゆっくりと話し始めた。
「お前の父親の話をしよう。落ち着いて聞きなさい。」