ただ、名前を呼んで

今日もまた母の唄うBGMを聴きながら、借りたばかりの本を読み進める。

今日たくさん読めたら、明日には感想文が書けそうだ。


いつも通り、夕方になると僕は部屋を出る。
必ず母に声をかけてから。


「じゃあね、お母さん。また明日来るからね。」


キョトンとした母の顔が、柔らかく緩む。


「また、きてね。」


母は言った。

僕に、そう言ったんだ。
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