ただ、名前を呼んで
僕はぐっと下唇を噛む。
どうしても明日は行きたい。行かなきゃいけないんだ。
だって母がそう言った。
「また、きてね」って言ったんだもん。
僕は約束したんだ。
明日も行くって。
俯いて、ゆらゆら揺れるアスファルトを見つめる。
すると支えてくれていた祖母の手が、僕の身体をぽんぽんと叩いた。
小さい子供をなだめるみたいに。
「お願い拓ちゃん。怪我が治ったらいくらでも行って良いから。ね、お願い。」