ただ、名前を呼んで
結局僕はファンタジーの物語を読むことにして図書館を出た。
医学書を手にしようとしたことは始めてじゃない。
母が良くなるヒントがあるかもしれないって、調べようとしたことだってある。
だけどいつも失敗に終わる。
知りたくないから。
認めたくないから。
それ以上に、母が『異常』であると考えてしまった自分自身に嫌気がさしたから。
母は何も変じゃないんだ。
ただ人より少し心が弱かっただけなんだ。
僕は母の居る施設へと急いだ。