ただ、名前を呼んで
間宮さんは少し考えてからゆっくりと口を開く。
「もしかしたら、フラッシュバックのようなモノかしら……。」
「フラッシュバック?」
「何かがキッカケになって、カスミさんの過去の記憶が突然甦ったのかもしれない。」
過去の記憶。
それが母をあんなにも怯えさせているのだろうか。
あんなに痛がるほどの傷ならば、心が壊れても無理はないのかもしれない。
記憶だけでもあんなに苦しむなんて、誰だって堪えられない。