ただ、名前を呼んで

僕はずっと母の心が戻ることを望んでいた。

今だってそれは変わらないけれど、少し胸がモヤモヤする。

だって心が戻ることが母を苦しめることになるのなら、僕には正しい答えなんて分からない。


部屋からの声は聞こえなくなっていた。母も落ち着きを取り戻したんだろう。

今日はもう帰ることにしよう。

僕だって少し混乱している。

なぜ母は僕の怪我を見て父を思い出したのか。

何をそんなに怯えているのだろうか。
< 142 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop