ただ、名前を呼んで

動き始めた時計。
母の時間がいつか僕らに追い付いて、同じ時を刻めれば良いな。


その翌朝、僕は腕のガーゼを張り替えた。

治りきってはいないけど、それほど酷くはないので小さいガーゼに代えたのだ。

ほんの少しでも目立たなくして、母への影響を和らげたくて。


今日は図書館へは行かない。
昨日借りた本をまだ読めていないから。


施設の入口で、いつものようにおじさんに声をかける。
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