ただ、名前を呼んで

「こんにちは。」

「おう。」


おじさんは軽く返事を返すと、すぐに持っていた新聞に視線を落とした。


「お母さんの様子はどう?」


僕は努めて自然に聞いてみる。
おじさんは新聞紙越しにチラリと視線を向けた。


「……行けば分かるさ。」


僕はその意味を十分に汲み取ることが出来ないまま、おじさんの元を後にした。

なんだか分からないけれど、胸がドキドキする。

何かが起こったんだ。

何か?

母に何かしらの変化が起こったのだろうか?
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