ただ、名前を呼んで

切なく顔を歪めて僕から目を逸らし続ける母。

内藤さんが僕の肩に手を置く。


「今日の所はもう帰らないか?」


絶望だった。
僕は今の母には、会うことさえ許されないのか。

内藤さんが僕の背中を押す。
その瞬間、無意識に僕の口から零れた言葉。


「嫌だよ……。」


内藤さんは背中をポンと叩くと、また外へと促す。

僕の胸の奥で何かがはじけた。


「嫌だってば!!なんで、なんで僕は会っちゃいけないのさ!?なんで!?」


内藤さんの腕を振りほどき、母の元に駆け寄る。
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