ただ、名前を呼んで

僕は話した。
あの光景を思い出さなければならないのは、とても苦しかったけれど。

母に正体を明かせず、顔を合わすことも出来ない辛さ。

そして、支えてやりたいのに方法が分からない辛さ。


「怖がらせてしまったら僕が支えるって決めたのに、僕は何も出来なかった……。」


どんな事だって受け入れると誓ったのは、つい昨日のことだ。

こんなに情けない僕を、祖父は叱るだろうか?
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