ただ、名前を呼んで
話の流れとは関係のない言葉に、祖父母も内藤さんも一瞬戸惑った様子。
「カスミに会いたいかい?」
内藤さんは優しく聞いてくれた。
会いたいよ。
怖いけど。
凄く凄く会いたい。
「お母さんは、僕を見たらまた怖がるかなぁ?」
自分でも驚くほど、弱々しく響く僕の声。
祖父母は切なく顔を歪める。
内藤さんの奥さんまでも、悲しそうに眉を寄せている。
僕は真っ直ぐに内藤さんを見ていた。
それに答えるように、内藤さんが視線を返す。