ただ、名前を呼んで
沈黙が僕らを包む。
施設の外からは小さい子供たちのハシャいだ声が聞こえていた。
「会いに行って来なさい。」
内藤さんが落ち着いた声でそう言った。
高らかに笑う子供達の笑い声が次第に遠ざかっていく。
僕は思いがけない展開に呆然とした。
「会って良いんですか?怖がらせてしまわない……?」
「良いんだ。君はあの子の息子なんだから。何かあったらすぐ呼びなさい。」
そう言った内藤さんの顔には最初に会った時の威圧感はない。
これまで見たことのないくらい、優しい顔だった。