ただ、名前を呼んで
僕は少し躊躇い、祖父の方をチラリと見る。
すると祖父は小さく頷いた。
「……行って来る!!」
僕はロビーを飛び出した。
残った祖父母と内藤さん夫妻は、おそらく母の今後について話すんだろう。
だけど僕に単に席を外させた訳ではないと思う。
きっと僕のためを思ってのこと。
ありがとう内藤さん。
僕は廊下の一番奥にある、通い慣れた部屋の前まで走った。
そして息を大きく吐くと、意を決して扉を開く。