ただ、名前を呼んで
僕はシーツに顔をうずめたままスゥッと空気を吸い込んだ。
「僕にとってこのシーツの匂いがお母さんの匂いだった。この匂いと、お母さんの優しい目が大好きなんだ。」
僕を見てくれることがなくても、ただぼんやり映るだけでも、僕はその瞳が好きだった。
「結局ね、僕はわがままだったと思う。じいちゃんもばあちゃんも、沢山困らせた。」
支離滅裂な、まとまりのない僕の話。
母は聞いているのかどうか分からないけど、ただ黙ってる。