ただ、名前を呼んで

淡い青の下、母の白い肌はまたさらに白く見えた。

温室で育てられた一輪の花が、太陽の光に初めて当てられたみたいに、母は眩しそうに目を細めた。


僕は少し離れた所から見ているだけ。

どうしよう。
会いたい。抱き着きたい。
無茶苦茶に泣いて、抱きしめられてみたい。

そんな衝動をなんとか抑え、僕は三人の様子を見守る。

なんだか母の様子がおかしい。明らかに動揺している。

僕は小さくだけど聞こえる会話にじっと耳をすませる。
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