ただ、名前を呼んで
“大好きよ、拓海”
息が出来ないくらいに胸は苦しいけれど、なんだか解放されたみたいな気分だ。
忘れていたのは母だけではなかったんだ。
僕だって忘れていたんだね。
母が僕を撫でてくれていたこと。
愛してくれていたこと。
そして、ちゃんと名前を呼んでくれていたこと。
あぁ、どうしよう。
こんな気持ち。
沢山のありがとうが溢れて来る。
産んでくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。
僕は『僕』を大切にするよ。