ただ、名前を呼んで
ところで、今日はクラスの連中がみんなどこかソワソワしている。
僕な嫌いなイベントの一つ、授業参観があるからだ。
毎回祖父か祖母が来てくれるのだけど、その度にみんなが好奇の目を向ける。
「あれ、拓海んトコのじいちゃんだぜ。」
今日もまた少し離れた所から聞こえる声。
いい加減慣れたけど、不快であることとは別だ。
クラスの奴らには両親のことを話していない。
担任は『家の事情』と説明しているらしかった。
『家の事情』って、凄く便利な言葉だと思う。