ただ、名前を呼んで

「ばあちゃん、支度できた?」

「はいはい。出来ましたよ。」


祖母の身体を支えながら、荷物を代わりに持ってやる。

今日はお墓参り。
父と母、そして祖父に会いに行くんだ。

駅で内藤さん夫妻とも待ち合わせている。


清々しく晴れた日曜日。
空全体が僕らを優しく包むように、淡い青。

頬を撫でる風は柔らかく、思わず頬がほころんでいく。


僕は祖母を右腕で支えながら、太陽の光に目を細める。
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