ただ、名前を呼んで
家に着くと祖母が迎えてくれた。
そのいつも通りの優しい笑顔に安堵する。
「ばあちゃん、手伝うよ。」
いつもの笑顔。
いつものやり取り。
心のざわめきがユラユラと晴れてゆく。
味噌汁の味をみながら、祖母が僕の顔をチラリと横見る。
「何?」
「たくちゃん、何かあったんでしょう。」
ギクリとした。
泣いたせいで、目が腫れたのだろうか。
顔を背けると、祖母はクスリと笑った。
「なんとなく分かるの。たくちゃんの変化は、分かっちゃうの。」