ただ、名前を呼んで
祖母の大きな愛を感じて、僕は唇を噛み締める。
肩が小刻みに震えるので、祖母が腕を回してくれた。
「お母さんが喋ったんだ。」
祖母は驚いたように僕を見た。僕の方が背が高いので、祖母は見上げなければならない。
「一言だけど、ちゃんと“言葉”だったよ……。」
声がみっともなく震える。
抑え切れなかった涙がボロボロと零れる。
「カスミさん、何て言ったの?」
祖母が回した腕で僕の身体を優しくさすりながら問う。