ただ、名前を呼んで

父の死後の処理は全て祖父母が行った。

そして残された身重の母のフォローもしようと決意したのだ。

自分達だって息子を失って辛いのに。悔しくて、苦しいのに。

けれどだからこそ、父が果たせなかった分まで母を支えようと思ったらしい。
祖父も祖母もそういう人なのだ。


しかし母の両親(彼らも僕の祖父母なのだけど)はそれを許さなかった。

母が心病んだ原因は父にある。
その父の親である祖父母を恨んでいた。
憎しみの眼で見ることしか出来なかったんだ。
< 54 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop