ただ、名前を呼んで
父の死後の処理は全て祖父母が行った。
そして残された身重の母のフォローもしようと決意したのだ。
自分達だって息子を失って辛いのに。悔しくて、苦しいのに。
けれどだからこそ、父が果たせなかった分まで母を支えようと思ったらしい。
祖父も祖母もそういう人なのだ。
しかし母の両親(彼らも僕の祖父母なのだけど)はそれを許さなかった。
母が心病んだ原因は父にある。
その父の親である祖父母を恨んでいた。
憎しみの眼で見ることしか出来なかったんだ。