ただ、名前を呼んで
その時の祖父の答えは僕の納得できるものじゃなかった。
「拓海(タクミ)がもう少し賢くなったら話すよ。」
ちなみに『拓海』は僕の名前。
会ったこともない父親の名前から一字取って名けられた。
僕を育ててくれているのは父方の祖父母だ。
それからの僕は本当の事が知りたくて、賢くなろうとひたすら勉強した。
勉強という意味ではなかったのだろうけど、その頃の僕は分かっていなかったんだ。
祖父が見兼ねて真実を教えてくれたのは、全てのテストで一番を取れた時だった。