ただ、名前を呼んで
少しの沈黙の後、男性は大きくため息をついた。
女性の方は居心地悪そうに男性の側で俯いている。
「私はカスミの父親だ。血の上では君の祖父という事になる。認めたくはないがね。」
まるでトゲで覆われているかのように痛みを伴う初対面の祖父の言葉。
僕はそれでも冷静に振る舞った。動揺してしまっては、同じ目線で話して貰えない。
「ずっと放って居たのに、今頃どうしたんですか?」
すると祖父はあからさまに不愉快そうに眉をしかめた。