ただ、名前を呼んで
「言葉には気を付けなさい。それと、もうここへは来なくて良い。」
は……?
突然現れて何を言うんだ。
今まで僕が毎日通ったって言う事実を、そんなに簡単に切り捨てるなんて。
「最近カスミの状態が良いらしい。別の施設に移して、私達が面倒を見ることにした。」
握りしめた手の平に、じわりと不快な汗が滲む。
強く握りすぎて爪が食い込んでいるのが分かる。
毎日毎日、僕は母を見続けていたんだ。
母は僕が支えてあげたいんだ。
傲慢な祖父の言い分をすんなり聞けるはずなどない。