ただ、名前を呼んで
祖母は帰宅した僕を見るなり顔を青くした。


「たくちゃん!どうしたの、その顔!腕も……。」


祖母にそう言われて腕を見ると、肘から手首に向かってアザが出来ていた。

鏡の前に立つと同様に額にもぶつけたあとがある。
母方の祖父に突き飛ばされた時にぶつけたんだ。

祖母が心配するといけないので、笑って「なんでもないよ。」とかわす。

しかし納得しなかった祖母から祖父に伝わり、僕は正直に話すよう促された。


「転んだにしては酷すぎるんじゃないか?」


祖父は僕の腕を取って言った。
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