ただ、名前を呼んで
黙っていても仕方ないので、僕は正直に話す。
母方の祖父母に会ったこと。
母を引き取ろうとしていること。
この怪我は僕が掴みかかった時に突き飛ばされて出来たこと。
祖父の表情が歪んでいくのに気付かなかった訳ではないが、僕は全てを話した。
祖母は切なそうに目尻を下げながら、僕の腕をさすっている。
「拓海になんて酷い事を……。言い分も勝手すぎる。次は私が話してやろう。」
僕は一瞬、祖父の言った意味が分からなくて顔を上げる。