ただ、名前を呼んで
祖父はポテチをバリバリと頬張り、油のついた指先をピチャッと舐めた。
「怖いのか?」
祖父の言葉に心臓がドクンと跳ね上がる。
どうしようもなく苦しくて、思わず顔を歪める。
「……うん、怖い。」
「そうか。」
そう、凄く怖い。
どんな僅かな可能性にだってかけるって、それは変わらない。
だけど日に日に良くなる母が、僕自身を見てくれた事はまだ一度もないんだ。
今僕はきっと情けない顔をしているだろう。何となくそれを見られたくなくて俯く。