ただ、名前を呼んで

「明日、一緒に行こうか。」


祖父の言葉に思わず顔を上げる。まさか祖父から一緒に行こうと誘われるなんて思ってもみなかったから。


「いいの?」

「カスミさんに、また行くと約束したしな。」


僕が頷くと、祖父は優しく微笑んでみせた。

祖父の優しさのおかげで少し勇気が出せた。

やっぱり祖父には守られてばかりだ。

いつかきっと恩返しがしたい。
「拓海を育てて良かった」と思って貰えるように。
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