ただ、名前を呼んで

「カスミさんに会いに来たんですよ。」

「あなた方が会いに来る必要など無い!そのガキもだ!」


怒鳴り声を上げる内藤さんに少し怯む僕。
祖父は僕の背中に回した手に力を込める。

母も怒鳴り声に驚いたようだった。怯えたように身を縮めている。

母を不安にさせるようなことだけは止めて欲しい。
僕はジロリと内藤さんを睨んだ。


「内藤さん。あなた、カスミさんを別の施設に移そうとしているそうですね。」


落ち着いた声で祖父は話す。
祖父にかばわれる僕は情けないけれど、やはり祖父は格好良い。
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